成長期 食事

生理の始まりがポイント!
女の子の骨形成

生理の始まりがポイント!  女の子の骨形成

身体が成長するにつれて、骨も形成されていくことは多くの方がご存知と思います。ですが、骨形成について特に注意が必要な時期がいつか、ご存知ですか?それは、女らしい身体つきになり身長が伸び始める小学校高学年頃の女の子なのです。この時期の女の子に特徴的に見られる骨形成の過程とその理由、実生活で行える対策について、子どもの心理・発達をご専門とされる綾部敦子先生にお話しを伺いました。

doctor
お話を伺った先生

綾部敦子先生
獨協医科大学越谷病院子どものこころ診療センター研究生

平成13年3月、岩手医科大学医学部卒業。医療法人渓仁会手稲渓仁会病院・小児科医員勤務を経て、現在に至る。 摂食障害小児を始めとする子どもの心と身体のケアを専門に、研究や診療、指導にあたっている。第6回ロート女性健康科学研究助成受賞(ベストプレゼンテーション賞受賞)。

女の子の骨形成と、女性ホルモン

始めに、骨形成とはどういうことか、教えて下さい。

綾部敦子先生 まず骨の形成とは、『骨が伸びること』と『骨の密度が増すこと』を指します。
骨の形成というと、身長が伸びることをイメージすると思いますが、骨の密度も増加することで、しっかりとした強い骨が形成されていきます。骨は幼少期から形成され始め、男性は高校入学頃、女性は小学校高学年から中学入学頃までに一気に身長が伸び(図1参照)、男女共に20歳前後に完成します。女の子の身長が一気に伸びる10代前半は初経を迎える時期でもあり、骨の形成は成長ホルモンとともに女性ホルモンの影響を受けています。


(図1)『「横断的標準身長体重曲線2000年度版(日本小児内分泌学会)」より』

女性ホルモンは骨形成と関わりが強いということでしょうか?

綾部敦子先生 はい、そうです。
女性ホルモンであるエストロゲンには、骨を形成する骨芽細胞の働きを活性化する作用があることが分かっています。生理が始まる頃にエストロゲンの分泌が盛んになることで骨芽細胞の働きが高まり、骨の形成が急速に進むと考えられています。閉経時期に骨粗鬆症のリスクが上がることも、エストロゲンの分泌減少が大きく影響しています。


注意すべきは、生理を迎えた女の子

女の子にとって女性ホルモンの分泌が始まった時期は、骨の形成に重要な時期ということですね?

綾部敦子先生 はい、そうです。
私は小児科医として摂食障害を患う子どもの治療に関わる中で、骨の形成の問題に着目しました。摂食障害とは様々な理由で食事が摂れなくなり、体重が減少(ないし停滞)する病気です。摂食障害を発症し、時間が経過すると身長が伸びなくなる症例が存在します(図2)。調べてみると、同時に骨の密度の成長も進まなくなることがわかってきました。このことから、10代前半に食事をとって体重を増やすことは骨の形成にとって非常に重要なことといえます。


(図2)ある摂食障害症例の成長曲線 「小児の摂食障害」作田亮一、臨床栄養vol.127No.7 2015.12 p895-900 より

このような、骨形成に問題を抱える女の子は増えているのですか?


綾部敦子先生 はい、摂食障害を患うお子さんは増えています。
その理由として女の子を取り巻く環境の変化が関係していると考えられています。痩せていないといけない風潮や、自分の体型が気になり出した時に簡単にダイエット情報が手に入る時代背景、部活や習い事で体重を絞るよう指導されることがあるなど、周りからの影響がきっかけとなって食事を拒否する方向に進み発症にいたるケースを多く経験します。栄養が十分に取れないことでホルモンの分泌が抑制されてしまい、その結果、骨の形成も遅れると考えられています。

骨形成のポイントは、『まず食べる』こと

日頃からできる、食事で気を付けるポイントはありますか?

綾部敦子先生 まず、『食べること』です。
この時期の女の子には体型が気になって食事を控えるお子さんがいます。また、近年は孤食の時代と言われ、親は仕事で帰宅が遅く、子どもも夜遅くまでの習い事で親子一緒に食事をする機会が減っているといわれています。子どもが何を、どのくらい食べているのかが分からない、といった状況を招いてしまっていないでしょうか。 子どもと一緒に食事をする時は、『いつもより食べる量が減ってきていないか』、『食べ物の好みが偏ってきていないか』など、ぜひ注意して様子をみてください。変化が感じられる場合には、足りない物を付け足してあげると良いと思います。おいしく感じながら、楽しい食事の時間を積み上げていくことが大切でしょう。

具体的に取り入れた方が良い食べ物はありますか?

綾部敦子先生 繰り返しになりますが、まずは『食べること』です。
多少の偏りがあろうとも、体重が年齢相応に増えていれば、まずは食事を楽しみ、その時間を大切にしてください。将来にわたって「食事を大切にする」という考えが子どもに伝わるはずです。それができているようであれば、『タンパク質』は女性ホルモンの材料にもなる大切な栄養素です。肉・卵・チーズ・大豆製品を意識して食事に取り入れてください。女性ホルモンの分泌や代謝を助けてくれる『ビタミンB6』『鉄分』も、女性は不足しないように注意したい栄養素ですね。『ビタミンB6』はマグロやカツオのお刺身や鮭、ニンニクなどに多く含まれます。『鉄分』はレバーが有名ですが、小松菜やホウレンソウ、ひじきなどにも含まれます(図3)。


(図3)

最後にメッセージをお願いします。

綾部敦子先生 まずはお子さんをよく見つめて、日頃のちょっとした変化に気付いてあげることが大切だと思います。お子さんとの接点を増やすことで、『好きだった肉を残すようになったな』『前よりも食事に興味がうすいな』といった心の変化や、『元気はあるけれど少し痩せてきた』『身長が伸びなくなってきた』などの体の変化に気付きやすくなると思います。思春期のお子さんの変化に不安を感じられる方も多くいらっしゃると思いますが、みんなが通る道です。親御さんはへんに気負わずに、一緒に話をする時間や食事をする時間を大切に、楽しく過ごしてみることから始めてみて下さい。

成長期の骨形成においても女性ホルモンが重要な役割を果たしていることを知り、女性ホルモンの大切さを改めて感じました。またホルモンの分泌には食事が不可欠だということも驚きでした。女の子にとって自分の身体が変わってくる頃は心身ともにデリケートな時ですが、そのような時こそ家族や周囲が支えていける環境が大切ですね。綾部先生、ありがとうございました。

Summary
この記事のまとめ

  • 女性の骨の形成には体重が年齢相応に増えていくことが重要
  • 女性ホルモンは、骨の成長に不可欠
  • 楽しく食べて、骨を作ろう!

この研究は、第6回ロート女性健康科学研究助成を受賞しました。より詳しい内容はこちらへ

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