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早産から赤ちゃんを守る!
リスクを減らすための最新検査とは?

早産から赤ちゃんを守る! リスクを減らすための最新検査とは?

予定日より早い段階で出産となる早産は、母親としてはなんとしても避けたいこと。 でも、なんで早産になるのかご存知ですか?どんな予兆に気を付けたらよいのか?予兆を感じたらどう対処したらよいのか?赤ちゃんとお母さんのからだを守るために、妊娠前に知っておくことがとても大切です。早産の主原因である「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」について、仁井見先生にお話しを伺いました。

doctor
お話を伺った先生

仁井見英樹先生
富山大学医学部
臨床分子病態検査学講座

鹿児島大学医学部卒。医学博士。癌研究会癌研究所、スウェーデン・ウプサラ大学ルードヴィヒ癌研究所を経て現在に至る。感染症の原因を特定する検査技術の研究・開発を行い、診療現場での活用を進めている。
第3回ロート女性健康科学研究助成受賞

子宮内の炎症が関係
早産になる原因とそのリスク

まずは早産について、詳しく教えてください。


仁井見英樹先生 早産とは、「妊娠期22週目から36週目までの分娩」のことを言います。22週未満は「流産」、37週以降は「正規産」です。「切迫早産」とは「早産になりかけている状態」をいいます。日本の早産率は5.7%。つまり、18人に1人が早産となっています(2010年)。近年、早産は日本のみならず全世界で増加傾向にありますが、実は、増加の原因はよくわかっていません。

主にどのような原因で起こるのでしょうか?

仁井見英樹先生 早産の主因は、絨毛膜羊膜炎と呼ばれる「感染症」です。特に、妊娠早期(28週未満)で出産した場合、60%以上の胎盤に絨毛膜羊膜炎および細菌感染が確認されています。 お腹の中の赤ちゃんと羊水を包んでいる卵膜(絨毛膜、羊膜)に、病原微生物(細菌、ウィルスなど)が感染すると、炎症を起こします。 絨毛膜羊膜炎は子宮内感染症の1つ。腟や子宮頸管の感染が、子宮内へ移行するケースが大部分ですが、一部、妊娠前から子宮内膜炎であることが関係するとも言われています。マイコプラズマやウレアプラズマによる感染が知られていますが、最近、他の細菌も一緒に感染すると、重症化して超早産になりやすいことも判明しました。
妊娠早期の破水や、新生児の予後リスク(髄膜炎、肺炎など)も高めますので、とにかく早期発見と早期対応がとても重要です

原因を知ることが、治療の第一歩
検査方法の研究最前線

では、「早期発見」のために、どのような予兆に気をつけたらよいのでしょうか?


仁井見英樹先生 38℃以上の高熱が出たときは、4つの症状(表)がないか注意してください。1つでも当てはまる場合は、直ちに健診先の病院へ連絡して受診するようにしましょう。高熱が出ていない場合も、4つの症状がすべて当てはまる場合は受診してください。重症化すると、早産のリスクが極めて高くなってしまいます。

なるほど、とにかく予兆に気づいたら、病院へ行くことが大切ですね。
病院ではどのような検査をするのでしょうか?

仁井見英樹先生 絨毛膜羊膜炎は、分娩後、胎盤を組織学的評価することで確定診断されます。つまり、お産が終わるまで、確定診断ができないということ。 分娩前は、母体の症状と血液検査を元に診断しますが、「絨毛膜羊膜炎の可能性が高い」ということまでしかわからないのです。困ったことに、絨毛膜羊膜炎でない症例に抗菌薬を投与すると、かえって妊娠期間を短縮することが最近判明しました。つまり、「可能性」だけで早期に抗菌薬を投与することに対して、まだ意見が分かれているのが現状です。 私たちはこの課題を解決するため、「羊水中に、感染症の原因となる病原微生物がいるのか?」を正確に調べる検査方法を開発しました。

絨毛膜羊膜炎であることを確認できる検査ですね?

仁井見英樹先生 はい、我々は、患者様の羊水に病原微生物が含まれているか、遺伝子(DNA)レベルで検査する方法を開発しました。この方法では、羊水の採取から3時間以内という、非常に短時間で結果が出ます。短時間で「子宮内感染症」であることが確認できますので、必要な方にはいち早く適切な「抗菌薬」を投与でき、早産のリスクを減らすことにつながっています。
この検査はすでに、私の所属する富山大学病院で1000例以上に実施しており、現在、他の病院でも実施できるように検査方法の簡便化とキット化進めています。さらに多くの妊婦の方の早産リスクを軽減できるよう、努めているところです。

早産にならないために
生活で気を付けることとは?

妊婦の方が、自分でできる対策はありますか?

仁井見英樹先生 そうですね、まず、日ごろから外陰部を清潔に保つことがとても大切です。 通気性の良い綿の下着を着用し、こまめに着替えて清潔にしましょう。おりものシート・ナプキンは使用せず、外陰部がむれないようにすることも大切です。精液中には絨毛膜羊膜炎を引き起こす原因菌が存在しますので、性交渉時には必ず避妊具(コンドームなど)を使用し、子宮収縮がある場合は控えるようにしてください。

日常生活で、すぐに実践できますね。 食生活で気を付けるとよいことも、教えてください。


仁井見英樹先生 加熱していない食品は、注意しましょう。リステリア菌が含まれている可能性があり、早産のリスクにつながります。この時期は、加熱して食べる、冷蔵でも長期保管は避ける、調理道具はしっかり洗って清潔にする、などが大切です。パテやサラミ、未殺菌乳で作られたナチュラルチーズなどは避けるようにお話ししています。 特に、梅雨の時期や季節の変わり目は身体が疲れやすくなります。免疫機能が低下すると感染症のリスクも上がりますので、疲れたらこまめに休息するなど、体調管理に気を付けましょう。

最後に、アドバイスをおねがいします。

仁井見英樹先生 早産を防ぐためには、とにかく早期発見と早期対応が重要です。
絨毛膜羊膜炎の徴候に気づいたら、迷わず直ちに健診先の病院へ連絡して受診するようにして下さい。切迫早産や早産から、赤ちゃんを守りましょう。


診断技術が日々進歩している中で、早産へのリスクを減らすために私たちができることは、自分のからだの変化にいち早く気づき、適切な診察を受けるためのアクションを起こすことだと思いました。仁井見先生、ありがとうございました。

Summary
この記事のまとめ

  • 早産の主な原因は「感染症」
  • いち早く適切な検査を受ることが、早産から赤ちゃんを守る
  • 熱や子宮の痛みなど、からだの変化に気づいたら迷わず受診して

この研究は、第3回ロート女性健康科学研究助成を受賞しました。より詳しい内容はこちらへ

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